フランケンの部屋(起業・会社経営)

フランス・ドイツ(海外)と日本の商慣習の違い(2)

海外販売

皆さんこんにちは、フランケンです。

前回の「フランス・ドイツ(海外)と日本の商慣習の違い(1)」では

商流別に日本とのフランスやドイツの商慣習の違いについてご紹介しました。

第二回の今回は欧州でのビジネスを始める際に現地企業によく言われる

排他的契約」についてご説明させて頂きます。

どのくらい売れるか分からない中で求められる排他的契約

フランスで日本製の建築資材の販売を始めてもうすぐ4年

これまでに排他的契約を現地企業に望まれた事は数え切れません。

大陸の人は陸続きで他国と隣接しているため

領土同様、盗った盗られたを繰り返してきた歴史があります。

 

全く何もなかった場所に街を作りインフラを整備し

人が集まるようにするのは、とても労力が掛かる事です。

これは未だ未開拓の地で新商品を広めていく時の状況に似ています。

 

大変労力の掛かる導入期を過ごし、商品の認知度が上がり、需要が増える

そんな状況になって、これまで自分たちしか扱っていなかった商品を

競合他社が同じように販売してきたら面白くないと思うのは至極全うです。

 

だからこそ販売を開始する前に自社以外には売らないでと「排他的契約」を希望されます。

 

排他的契約のメリットとデメリット

排他的契約についてはメリットもあればデメリットもあります。

メリットとしては

  • 現地に精通した営業網をすぐに活用できる。
  • 日本側からの労力を抑えて現地で営業活動ができる。
  • 現地での在庫リスクをパートナーに任せる、もしくはシェアできる。

デメリットとしては

  • パートナー契約を結んだ相手が、該当する商品にのみ注力する訳ではない。
  • 思うように売り上げが伸びなくても、他社や自社での営業活動ができない。
  • 販売利益が圧迫される。

すでに現地で出回っている類似品がある場合などで

価格面や品質面で競合を圧倒する製品であれば

初年度から「この程度は売れるだろう」と予測を立てることができますが

そのような製品でない場合は初年度に見込み数字を立てることは困難です。

 

現地のパートナー企業と目標数字の共有、約束ができない中で初年度から排他的契約を求められた場合

とても難しい選択となります。

 

結局それならどうしたら良いの?

フランケンのこれまでの経験から言えば

日本側からヒト・モノ・カネを豊富に投入できるのであれば

少し時間が掛かっても排他的契約をせず、自前で販売網を構築することを勧めます。

 

ただ多くの日本企業が現地で売れるか売れないか分からないのに

そのような資源を惜しげもなく投入することは困難でしょう。

 

そう言う意味では相手を吟味して、排他的契約をすることも決して悪い選択ではありません。

 

排他的契約を結ぶならどんな相手?

まず、現地国に1000も2000も競合店舗がある業界であった場合

100店舗、200店舗を有する販売店だとしても排他的契約をするべきではありません。

もし排他的契約をするのであれば、1000も2000店舗に商品を卸すことのできる問屋などを探すことが大事です。

ただし、フランスやドイツでは問屋業を専門に行っている会社は多くありません。

そこで、類似製品を扱うメーカーや、あなたの会社が現地で販売を目指す

1000、2000店舗に商品を供給している、もしくは供給することが出来る他製品を扱うメーカー

とパートナーシップを結ぶことがお勧めです。

 

ここで気をつけるポイントは類似品を扱うメーカーとの協業です。

先のデメリットの部分でもお伝えしましたが、あなたがパートナー契約を結んだ企業が

あなたの製品を一番に注力してくれるとは限らないという点です。

 

特に類似品を扱うメーカーの場合、売りたい商品は自社で作っているモノ、より利益のある商品です。

従って、あなたの商品を一番に考えてくれることはほとんどないでしょう。

確かに同種の会社と協業関係を結べば話がわかりやすく、手間は省けますが

あなたが考える、望む数字を販売してもらうことのできない

自社や他社を通じて販売することもできない「飼い殺し」状態になることもあります。

 

排他的契約で気をつける点は?

排他的契約を結ぶ上で大事なポイントは

  • 相手企業があなたの望む販売量を見込めるキャパがあるのか?
  • 相手企業の中でのあなたの商品の優先は高いのか?
  • 連絡が取りやすいか?
  • 一方的でなく双方の意見を出し合って話し合いができるパートナーか?
  • 初年度は販売目標、2年目以降は最低販売数の約束をしてもらえるのか?

海外の展示会などで出会った現地の企業など最初は皆良い事ばかり言います。

この5つのポイントで一つでも不安が残る場合は排他的契約を結ぶ相手として

選ぶべきでないとフランケンは考えます。

 

日本では多くのシェアを誇り、自社製品に自信があっても

海外に行けば赤子同然のような扱いをされてしまうことも少なくない日本企業。

自社、自社製品に自信があるのであれはしっかりと相手を見極めて

対等以上の気持ちでパートナーを見つけてください。

 

次回「フランス・ドイツ(海外)と日本の商慣習の違い(3)」では

海外での販売をしっかりと長く続けるためにとても重要な「値決め」について

お話しさせて頂きます。

1社でも多くの日本の中小企業が海外での販売成功を収めることを願っています。

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