こんにちはフランケンです。
前回は「調査担当者と企業幹部の信頼関係・協力関係なくして海外市場調査は成立しない!」をお届けしましたが
時間とお金が掛かる海外市場調査では出来るだけ効率的に成果を上げる必要があります。
ただ効率的にと言うと「ささっと」「スマートに」などと思われてしまう担当者の方も多いのではないでしょうか?
楽して海外販売における市場調査ができるなんてあり得ません
そこで今回は「スマートで効率の良い海外市場調査は絶対ダメ!」をお届けします。
6年前に日本企業からフランスに派遣されてきたフランケンですが
最初にやったことは。。。
- 現地在住でフランス語を話す日本人に手伝ってもらった
- 展示会で組めそうな企業がないか見てまわった
- 当時、フランスで販売を目指していた商品の類似品を扱っている現地の会社とパートナーシップが組めないか交渉した
結論から言うと、どれもスムーズに進める事が出来ましたが、結局全てうまくいきませんでした。
現地の言葉を話す日本人の活用はあくまでも通訳やお手伝いとして
慣れない国で市場調査をしていると、何気なく訪れた日本食レストランや日本人街で
現地在住の日本人の方とお会いする事があります。
「私フランスに20年住んでいます」
そんな方が「フランスのビジネスって、そうじゃないよ、こうした方がもっと良いよ」
なんて言ってきたら「20年も住んでて現地に精通しているこの人が言うから間違いない!」なんて
信じちゃったりしますよね。
これが一番危険です。
その人があなたの扱っている商品・業界のスペシャリストですか?
ましてや物を売る事を専門としない人まで信じてしまう事もあります。
売る事が目的の市場調査の重要性
「とにかく市場調査をする」が目的になってしまうと、売れない理由を探してしまう事があります。
特に現地在住の日本人に主導権を渡して市場調査を進めると「売れない理由」が次々と出てきます。
売れる事で収入を得るのは時間と労力、もちろん技術も必要となります。
逆に市場調査だけなら、結果に関わらず日本企業から簡単に謝礼をもらえる事ができます。
このような人はあくまでも参考程度に、手伝ってもらうなら通訳や翻訳程度に抑えるのが正しい選択です。
ここで大事なのは、あなたのパートナーが売る事を目的にした市場調査をしてくれるか
現地で行われる展示会は短時間に業界のパートナーを探す有効的な方法の一つです。
ただ彼らに一緒に売ってもらいたいと願い出てもなかなかうまく進みません。
そもそも彼らはこれまで自社で力を入れている商品があります。
その自社注力商品に対して、圧倒的な価格メリットを提案できるのであれば話は進むかもしれませんが
これから海外で販売を目指す日本企業が価格面だけをメリットに自社の製品を売る事は殆どないでしょう。
新しい商品を売れる事は素晴らしい事だと考えてくれることはあるでしょうが
あなたの会社の商品を販売する事で、これまで力を入れてきた商品が売れなくなったら困ってしまいます。
そこで彼らは他社に取られるくらいなら、自分たちでコントロールできるようにしておきたいと考え
パートナーシップを簡単に結んでくれることがあります。
類似品を扱っている会社とパートナーシップを結ぶ危険性
あなたの会社が日本で多くのお客様をもち、実績と信頼があっても
海外に出てしまえば、現地で既に実績・販路を持っている現地企業の立場が強くなってしまいます。
ヨーロッパの企業の多くが「うち以外の会社には販売しないで」と排他的契約を求めてきます。
現地での強い立場を利用して契約締結に必要な目標数字などを一切決めずにです。
どうしても前進したい日本企業は、ここで相手の条件を受け入れて契約を締結してしまう事があります。
ただ彼らは「他社に取られるくらいなら、自分たちでコントロールできるようにしたい」程度で
排他的契約を結ぶのであって、売れるか売れないかには責任を持ちません。
最初から地道に泥臭い市場調査・営業活動が大事
他所から自分たちのモノを奪いにきた人から、自分たちのモノを守る
という点において、大陸の方は秀でています。
あなたと利害が完全に一致するパートナーでなくては
現地での販路を既に持っているパートナーの場合、主導権を完全に握られてしまう可能性があります。
上から下りていくと
1(類似品メーカーに)聞けば10(ユーザー)の答えが聞けるように見えますが
それはあなたの商品だけの事を考えての答えではなく
類似品メーカーや販売店がこれまで扱っている注力商品を第一に考えた上での答えに変換されて返ってきます。
手間と労力は掛かりますが、市場調査をするなら断然ユーザーへ
ユーザーから高評価を得られれば、販売店への交渉がスムーズになります。
販売店との交渉がスムーズになれば類似品メーカーと対等な立場で取引をする事が出来るようになります。
労力と時間は掛かりますが、一人でも多くのユーザーの声を拾い上げていく事が市場調査ではとても大事なことです。